クレカはコンビニポイント優遇…拡大する「財布のメーンカード化」競争の行方
クレジットカード各社が会員向けにコンビニエンスストアでのポイント優遇サービスに力を入れている。コンビニは店舗数が郵便局や給油所の2倍で、日常生活に不可欠な商品がそろうほか、宅配便の受け付けもできるなど「社会インフラ」の側面を持つ。コンビニの市場規模は10兆円を超えて、キャッシュレス決済も浸透してきた。カード発行枚数の伸びが鈍化する状況で各社は利得性を訴えて、消費者の財布の中で「メーンカード」を占める競争を繰り広げる。(日下宗大)
社会インフラ機能を担う施設の中でコンビニは拠点数で群を抜く。郵便局は約2万3000局、給油所は約2万9000店に対して、コンビニは2倍の約5万6000店だ。経済産業省の商業動態統計によると、2021年の販売額はコンビニは11兆7000億円だった。スーパーの15兆円と同じく10兆円以上の市場規模だ。
コンビニでのキャッシュレス割合も高まっている。キャッシュレス推進協議会の調査によると、21年のコンビニ支払総額におけるキャッシュレス割合は前年比2・2ポイント増の36・7%だった。19年比では8・9ポイント増でコロナ禍でも伸びている。
カード各社はコンビニ利用でポイント優遇を図り、メーンカード化を狙う。三菱UFJニコスは7月からセブンイレブンやローソンでのポイント優遇サービスを始めた。最大5・5%相当のポイント還元を受けられる。三井住友カードは会員がセブンイレブンやローソン、ファミリーマートでタッチ決済するとポイントが最大5%還元される。クレディセゾンやジェーシービー(JCB)なども同様の取り組みを進める。
メーンカード化に向けた競争が広がる背景にはカード発行枚数の頭打ちがある。JCBの「クレジットカードに関する総合調査」で、21年のカード保有者の一人当たりの平均枚数は約3枚。日本クレジット協会の調査によると、21年3月末の発行枚数は前年比0・8%増で鈍化傾向だ。あるカード会社関係者は「利便性と利得性で攻勢をかけて、メーンカードになることが重要だ」と話す。