「あと払い」始めたPayPay、副社長が語る勝算
スマートフォン決済大手PayPay(ペイペイ、東京都千代田区)が、当月に使った金額を翌月にまとめて支払えるサービス「ペイペイあと払い」の提供を1日に始めた。実店舗で決済する際、事前に残高をチャージする手間が解消し、高額商品の購入時も使いやすくなる。グループ企業が展開するクレジットカードの会員増加にもつながる公算が大きい。オンライン店舗への対応も迅速に進め、サービスの認知を向上できるか試される。
ペイペイあと払いの審査に当たっては、クレジットカード「ペイペイカード」の与信管理の枠組みを活用する。消費者がスマホのペイペイのアプリケーション(応用ソフト)上でペイペイあと払いを申し込むと、審査完了後すぐに、同カードの仮想カードが使えるようになる。オプションとしてプラスチック製のカードも発行でき、3月末までは新規発行特典を上乗せするため、カード会員増加につながりそうだ。
ペイペイアプリは、銀行口座や現金自動預払機(ATM)から残高をチャージすることで決済に使えるが、この方法では残高を超える額の商品を購入できない。あと払いが浸透すれば、クレジットカードで行われてきた高額決済をペイペイが奪う可能性もある。
あと払いのオンライン店舗への対応は、4―6月に順次始める見通しだ。詳細は今後詰めるが、ヤフーの電子商取引(EC)などから適用していく方針。ペイペイによる決済はグループ外のECサイトでも既に使われており、円滑に対応を進められるかが問われる。
ペイペイ副社長・安田正道氏「市場、奪い合いでなく拡大」
ペイペイで金融事業を統括する安田正道副社長に、あと払いの意義などを聞いた。(編集委員・斎藤弘和)
―あと払いは2020年夏に申し込みを受け付け開始予定でしたが、遅れた理由は。
「大きなサービスなので、製品開発や内部管理体制の整備に時間をかけた。利用者に(画面の操作などを)簡便に速く使って頂けるよう議論を重ねた」
―バイ・ナウ・ペイ・レイター(BNPL、後払い決済)分野の競争環境は。
「日本で一番実績があるのはネットプロテクションズ(東京都千代田区)で、そこに今回、米ペイパルが買収したペイディ(東京都港区)が入ってきた。ただ国内では、まだBNPLは一般的ではなく、伸びる余地がある。限られたパイの中でシェアを奪い合うというよりは、市場が広がっていく」
―自社の優位性は。
「一般的にBNPLは、(貸し倒れのリスクを抑える観点などで)初期においては(個々人の利用可能枠が)数万円から、という例も多い。だが我々の場合はカードの与信と一体的に運営するので、その与信の範囲内ならば、より大きい金額を使ってもらえる」