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紙風船もゴミ袋もつかめる!トヨタと産総研が開発したスゴい自動式グリッパー【動画あり】

紙風船もゴミ袋もつかめる!トヨタと産総研が開発したスゴい自動式グリッパー【動画あり】

自重式鉗子型グリッパー(トヨタ提供)

トヨタ自動車の白澤健主任と産業技術総合研究所の堂前幸康研究チーム長らは、紙風船からゴミ袋までつかめる自重式鉗子型グリッパーを開発した。2グラムから4・3キログラムまで3ケタにわたる袋状の柔軟物を扱える。機構がシンプルでさまざまな場面に応用しやすい。電動式グリッパーに比べて消費電力を6割削減できた。

グリッパーは鉗子の持ち手に当たる部分をリンクで閉じた構造に設計した。リンクが閉じた輪の中で平行2本指グリッパーが開閉して鉗子を開閉する。把持対象をつかむ際は2本指を広げて鉗子を広げながら対象に押しつける。その後、2本指を閉じて引き上げると鉗子が把持対象に食い込みながら閉じる。この鉗子が閉じる力は把持対象の重さによって変わり、重い物は強く把持できる。

実験では2グラムの紙風船をつぶさずに把持できた。同じグリッパーで30グラムの菓子袋や2キログラムの米袋、4・3キログラムのゴミ袋を把持できた。機構で把持力が調整されるため把持力制御がいらない。

柔軟物はハンドとの接触が安定せず、硬い対象に比べて強い把持力が必要になる。変形に合わせて把持力を電気制御するとシステムが複雑で高価になる。社会実装に向けてシンプルな解法が求められていた。

2・6キログラムのゴミ袋をハンドリングすると、自重式は電動式に比べて消費電力を6割削減できた。一般家庭の45リットルゴミ袋の平均重量は4・3キログラム。吸引式はゴミ袋の破れや濡れに弱いなど、ゴミ収集作業は自動化が難しい課題とされる。

日刊工業新聞2022年7月4日

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