消費電力16分の1、ロームが開発した「電圧高精度検出のリセットIC」の実力
ロームは電子回路の電圧を高精度かつ省エネルギーで監視するリセットICを開発した。電圧検出精度はプラスマイナス0・75%で、最大40ボルトまでの動作電圧に対応。同社によれば業界トップクラスの検出精度という。消費電力は同機能の一般品と比べ16分の1ほどの500ナノアンペア(ナノは10億分の1)。自動車のエンジンコントロールユニットや工場自動化(FA)機器などでの利用を想定する。
すでにサンプル出荷しており、サンプル価格は消費税抜きで300円。10月から月産100万個体制で量産する。
リセットICは電子回路の電圧を監視し、事前に決めた電圧を超過、もしくは下回った異常電圧を検出すると出力が変わる機能を持つ。電子機器を制御するマイコンと組み合わせることで、異常電圧が発生した際、制御に影響がないようマイコンを“リセット状態”にする。
今回、ロームが開発したリセットICの「BD48HW0G―C」は過電圧・減電圧の両方を検出。検出電圧は自由に設定可能で、高電圧な車載・産業機器の電源周辺でも稼働する。
同ICの動作電圧は1・8―40ボルト、動作温度はマイナス40―プラス125度C。サイズは幅2・9ミリ×奥行き2・8ミリ×厚さ1・25ミリメートル。
同社が注力する自動車・産業機器分野では自動化の進展に伴って、システムに問題が生じた場合でも安全を確保できるような電子機器・部品のニーズが高まっているという。新製品の投入で、そうした需要に応える。
日刊工業新聞 2022年6月23日