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尿の飛び散り抑える、立っておしっこすると持ち上がる便器の仕組み

東京都立大学の大井恵悟大学院生と和田一義准教授らは、男性の立位での放尿前に便器を持ち上げ、尿の飛び散りを抑えるトイレシステムを開発した。人工知能(AI)技術でカメラ映像から立位の小用姿勢を検出する。尿が便器に届くまでの位置エネルギーを減らす。立位時持ち上げ成功率は7割を超えた。

同チームはトイレ清掃の自動化のために昇降機能付きのトイレを開発している。この昇降機能を尿の飛び散り抑制に利用した。飛び散りが抑えられれば清掃負荷を軽減できる。まずカメラで利用者を撮影して画像から骨格を推定する。骨格情報から小便時の動きと大便時の着座の動きを識別する。立位の場合は便器を上昇させる。

立位時の動作成功率は72%。放尿が始まるまでに便器の上昇が間に合うなどの動作許容率は46%だった。座位は成功率は39%だが、許容率は100%。小便後に座る、大便後に小便をするなどの切り替え動作を含めると、成功率は46%で許容率は66%になった。

研究にはRGB画像を用いたが、個人を特定できない距離画像を用いていく。昇降の成否にかかわらず、トイレが動作することは座位での小便を促す可能性がある。コンビニや家庭など、座位の便器しかない場面では尿の飛び散りが清掃作業の負担を増していた。

日刊工業新聞2022年6月14日

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