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役割の大きさや成果で評価する人事制度を導入した日特陶、取締役が語る狙い

日本特殊陶業は、4月から管理職や専門職を対象に役割の大きさや仕事の成果によって評価する新人事制度「役割等級制度」を導入した。賞与では評価基準を明確化し成果に応じて額に差をつける。長期経営計画で主力の内燃機関向け製品に頼らない事業構造への転換を目指す。業界が変革期を迎え、求める人材が変わる中、創造性豊かな人材の育成につなげる考えだ。

「このポジションはこういう役割ときちんと定め、より見合う人材を充てる」。加藤三紀彦取締役は新人事制度の狙いについて、力を込める。役割等級制度は主に管理職や専門職を対象に管理職は七つのランク、専門職は四つのランクに分類して評価する。職務の役割に加え、結果と評価を明確化し適材適所に人材を登用しやすくする。管理職については現中計の2024年度までは従来の経験年数などで評価する職能資格制度と併せて評価する。

また同社は21年度により機動的に動ける社内カンパニー制を導入。22年度から賞与でカンパニーごとの評価、個人の目標達成度に応じ受け取れる額の幅を大きくした。成果に応じた評価の明確化で社員のモチベーション向上を図る。一方で目標設定などで社員の不満につながらないよう丁寧なフォローを心がける。社員の適性などもくみ取り最適な人員配置にもつなげる。

加藤取締役はカンパニー制の導入で「各事業が一つの『会社』らしくなった。自ら判断して動いているのが発言や行動から感じる」と手応えを感じている。

日特陶は持続的な成長に向けて、エンジン点火プラグなど内燃機関事業から非内燃機関事業を主力にする事業構造の転換を目指す。新人事制度を通じて、従業員の意識改革を促し、自らの役割を全うする創造性豊かな人材の育成や攻めの企業風土の醸成を目指す。

日刊工業新聞2022年4月26日

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