国際ロボット展で木製展示ブースを設置した企業が得た手応え
ハーモニック・ドライブ・システムズは3月9日―12日に開催した見本市「2022国際ロボット展」で、国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)について同社としての取り組みを示した。展示ブースは木材を採用し、再利用を可能にした。ノベルティーは再生紙を元にしたメモ帳を用意し、説明員はアフリカの自立につながるシャツを着用し、製品を解説した。
長井啓社長は「SDGsのために何ができるか模索した。単に資金を投入するのではなく、イベントに結びつけた」と背景を語る。2022国際ロボット展では、従来プラスチック製だった展示ブースを木材に変更。製品を展示する架台や商談のためのいす・机も木製を採用した。ブースの構築もSDGsへの取り組みを積極的に行う業者を選定する。設置ブース周辺の取引先や同業他社からも好評で、長井社長は「インパクトがあった。やって良かった」と手応えを感じている。
展示会場で配布したノベルティーの一つは、同社で使用した紙を再利用したメモ帳。セイコーエプソンが開発し16年に発売した再生紙生産装置「ペーパーラボ」を活用する。同装置はオフィスの書類を投入すると名刺やノートなどに変換できる。ハーモニック・ドライブ・システムズでは近日中にも同装置を工場に設置する。
説明員が着用するシャツはアフリカで衣類などを生産するDOYA(東京都渋谷区、銅冶勇人社長)製。アフリカに資金を投入するだけでは、寄付が途絶えたときに支援が終わってしまう。DOYAの考え方はアフリカで生産したものを販売することで現地に資金が貯まり、自立を促す。職業訓練学校やビジネスを生み出すことにつながるとみる。
長井社長は「この思想に共感した」と話す。DOYAとのパートナーシップ契約も締結。小物入れなども購入し、ノベルティーとして活用する。「DOYAとの連携をチャンスと捉えて、草の根の運動として継続していきたい」と語る。持続可能な社会の実現へともに手を携える。