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名大・浜松ホトが開発、GaN基板をレーザー切断する新技術の効果

名大・浜松ホトが開発、GaN基板をレーザー切断する新技術の効果

レーザーでスライスしたGaN基板(名大提供)

名古屋大学の田中敦之特任准教授と天野浩教授らは浜松ホトニクスと共同で、窒化ガリウム(GaN)基板をレーザーでスライスする技術を開発した。切断時に失われるGaNの厚みは数マイクロメートル(マイクロは100万分の1)と、ワイヤソーで削る場合よりも2ケタ小さくなる。高価なGaNの利用効率が向上する。

緑色のレーザーをGaN基板の底面から照射する。焦点部分でレーザーのエネルギーが吸収され、GaNがガリウムと窒素ガスに別れる。この膨張する力でGaNがへき開される。溶けてなくなる厚みは3マイクロメートル程度。ワイヤソーで削ってスライスすると200マイクロ―300マイクロメートルのGaNが失われた。

GaN基板にパワー半導体の回路を形成してからへき開することも可能。GaN基板の表面を繰り返し利用できる。へき開面の表面粗さは10マイクロ―20マイクロメートル程度。軽く研削してから研磨すると平坦度を再生できる。今後、大口径化やへき開時の平坦化を進める。酸化ガリウムや窒化アルミニウムにも適用を進める。

日刊工業新聞 2022年6月2日

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