トラックの最適な配送ルートを生成するAIシステムの仕組み
三菱ふそうトラック・バスは、人工知能(AI)を活用した配送計画ソフトウエアを手がける米ワイズ・システムズと業務提携している。ワイズ・システムズが開発したシステム「ワイズ・システムズ」はAIで最適な配送ルートを生成できる。運転手不足が叫ばれるトラック物流にあって、効率的な配送計画により車両の稼働率の改善のほか、配送遅延の解消にもつながる。
同システムはAIと機械学習で、荷物が宛先に届く最終段階「ラストワンマイル」での最適な配送ルートを自動作成する。三菱ふそうは同システムの日本向け仕様の開発に協力し、販売代理店になった。同社以外のメーカーのトラックや軽自動車などでも使える。
システムの仕組みはこうだ。配送のオーダーや車両、運転手、交通情報などのデータをシステムが取り入れる。そこから最適なルートや担当運転手などが選ばれて配送計画を自動作成する。配送計画の内容は運転手のスマートフォンのアプリケーション(応用ソフト)に反映される。
同システムの導入効果は従来比で車両の走行距離が平均15%削減、稼働率は同20%向上、配送遅延は最大80%解消などが見込まれる。
ワイズ・システムズのチャズ・シムズ最高経営責任者(CEO)は「ラストワンマイルの配送では非効率な部分があった」と指摘。その上で「都市配送のイノベーションを起こす」と意気込む。三菱ふそうのカール・デッペン社長はAIの活用により「リアルタイムでお客さまに価値を提供できる」と強調する。
陸上配送の主役であるトラックはコネクテッド化が進む。AIをはじめ、最新技術の運用に不可欠なデータも取得しやすくなっている。三菱ふそうのテレマティクスシステム「トラックコネクト」と「バスコネクト」の2021年の登録車両数は前年と比べほぼ倍増した。データをもとに「関連するサービスでお客さまの稼働を助けていきたい」とデッペン社長は話す。(日下宗大)