電解質生産コスト半減、日本触媒がリチウム電池向け技術確立へ
日本触媒は2025年3月期までに、リチウムイオン電池用電解質「イオネル」の生産コストを現状比で半減できる生産プロセスを確立する。パイロット段階での技術確立に取り組んでおり、増産に向けた次期プラントでの実装を計画。車載電池は電気自動車(EV)の普及で需要拡大が期待される一方、コスト高が課題となっている。同社でも電解質のコスト低減を急ぎ、価格競争力を高める。
日本触媒は国内でイオネルを生産し、電解液メーカーに供給している。年産300トンの現在のプラントに加えて、23年に国内で同2000トンの新プラントを稼働する計画を公表している。ただ現時点では、欧州での現地生産を先行することも視野に入れており「両にらみで(次の)増産を計画している」(五嶋祐治朗社長)段階だ。これら生産能力の増強に加え「次世代生産プロセス」(同)の確立により、コスト低減への取り組みも強化する。
生産コスト半減に向けた具体的な手法は明らかにしておらず、次期プラントで新たな生産プロセスを立ち上げ当初から実装するかは今後詰める。少なくとも「設備の改良で(コストを低減した新プロセスを実装)できるプラントとする」(同)方針だ。
EVは車載電池のコストの大きさが普及への最大のネックとなっている。そのため電池各社とも原価低減を加速しており、「(イオネルについては)現状の価格でも2―3年先までは大丈夫だが、その先はコスト低減に取り組まないと(需要を)逃がす」と、五嶋社長は危機感を示す。
日刊工業新聞2022年4月25日