心不全患者に遠隔医療、北海道大がアプリ活用で挑む
北海道大学大学院医学研究院の永井利幸准教授は、北海道の重症心疾患患者の往診負担軽減に取り組み始めた。ハート・オーガナイゼーション(大阪市淀川区)の遠隔医療支援の画像共有医療機器アプリを活用し、診断画像や電子カルテを北海道大学病院と道内の地域中核病院で共有できる仕組みを整えた。市立函館病院(北海道函館市)との連携から開始し、今後2年以内をめどに道内の6病院以上との連携を目指す。
専門医のいない地域中核病院では、重症心不全の患者が出ると対応が困難なことがある。そこで紹介を受けた北大病院の専門医が往診に出向き、道内では北大病院でしかできない治療や投薬が必要かを判断する。ただ、近隣でも1度の往診で数時間から半日以上を費やすため専門医の負担が大きく、往診の間は北大病院に専門医が不在の状態になるリスクも生じる。そのため地域中核病院側も患者の紹介をためらいやすい課題があるという。
ハート・オーガナイゼーションのアプリ「Caseline(ケースライン)」では双方の病院が診断画像や動画、電子カルテを容易に共有しながら音声通話でスムーズに対応を協議できる。診断情報を記した書類作成の負担がなく、やりとりの時間も大幅に短縮できる。
北大病院は詳細な情報を迅速に確認した上で必要に応じ往診する体制を構築する。専門医の負担を軽減すると同時に、地域中核病院が気軽に相談しやすくする。将来は連携先を増やし、道内全域を専門医が効率的にカバーできる体制を目指す。
日刊工業新聞2022年4月14日