相次ぐ大手の“中小化”、コロナ禍が問う「中小」の定義

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法人税法における中小企業の範囲は資本金1億円以下―。コロナ禍で財務基盤が脆弱化した大手企業が資本金を1億円以下に減資し、中小企業として税制上の優遇措置を受けようとする動きがある。2021年度の減資企業数は前年度を大幅に上回る見通しだ。他方、中小企業の間では優遇措置を継続しようと、中堅企業への事業拡大をコロナ禍もあって躊躇(ちゅうちょ)する企業がある。コロナ禍は中小企業の定義や優遇措置の在り方も問いかけている。

東京商工リサーチによると、1億円超だった資本金を1億円以下に減資した企業は、2020年度が前年度比39・4%増の997社、21年度は上期(4―9月)だけで684社に達している。21年度は年度ベースで前年度を大きく上回る可能性がある。

コロナ禍に伴う行動制限などを背景に、財務内容が悪化した大手企業が減資し、“中小企業化”による優遇措置を求める企業が目立つという。JTBやスカイマーク、日本旅行などのサービス業にこの傾向が多くみられる。ジャパンディスプレイ(JDI)のように累積損失の解消を狙った減資もある。

長期化するコロナ禍は依然、収束を見通せない状況にある。不動産などの資産売却に加え、資本政策を見直す動きもしばらく継続する可能性が大きい。

他方、中小企業の間では、補助金や税制の優遇措置を継続する目的で、敢えて中堅企業への規模拡大を控えている企業もある。コロナ禍がこの傾向に拍車をかけている可能性もある。

政府はこうした傾向を修正するため、昨夏に産業競争力強化法改正法を施行。資本金に上限を設けず、例えば製造業の場合は従業員500人以下なら補助金や税制優遇措置を受けられる特別枠を設けている。

中堅企業でも中小企業並みの恩恵を受けられるため、中小から中堅企業への事業拡大を促す効果が期待されている。政府は成長を後押しする中小と、事業の継続を目指す中小と二極化の中小企業政策を推進する。

資本金は企業の規模や実力を測る基準ではなくなりつつある。資本金額だけで税負担が変化する現行の税制に不公平やモラルハザードを助長するリスクはないのか。長引くコロナ禍が中小企業の定義について疑問を投げかけている。

日刊工業新聞2022年3月15日

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