「後継者がいない」倒産件数が過去最多、最も多い業種は?
東京商工リサーチ(TSR)がまとめた2021年の後継者難による倒産は前年比2・4%増の381件だった。2年連続で前年を上回り、調査を開始した13年以降で最多件数を更新した。中小企業では代表者の高齢化が進んでいる。不測の事態が起きた際、事業継続に支障が出るリスクが高く、事業承継は重大な経営課題としてのしかかる。
後継者難倒産のうち、要因別では代表者の死亡が196件で構成比で51・4%を占めた。体調不良は121件で同31・7%。この二つで全体の8割以上を占めた。
代表者の高齢化は進み、平均年齢は62・49歳と前年の62・16歳から上昇した。多くの中小企業では代表者が経営全般を担うが、「業績低迷が続く企業では後継者の育成などは後回しになっているケースも少なくない」(TSR)という。高齢であるほど長期ビジョンを打ち出せず事業継続へのリスクも高まっている。
後継者難倒産のうち負債1000万円以上の倒産件数は6030件で、コロナ禍における政府や金融機関による資金繰り支援策の下支えによって57年ぶりの低水準となった。ただ倒産全体に占める後継者難倒産の構成比は前年比1・6ポイント増の6・3%と最も高い水準になった。
産業別では最多がサービス業他の84件で構成比の約2割を占め、建設業77件、製造業66件と続く。資本金別では、1000万円未満が205件と半数以上を占めたが、1000万円以上5000万円未満は166件と増加した。負債額別は1億円未満が271件で、構成比の7割に上った。ただ1億円以上5億円未満は98件、5億円以上10億円未満は8件と前年より増えた。
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日刊工業新聞2022年1月20日