100層以上のニューロ演算ができるスゴい「3D積層型AIチップ」
東北マイクロテックが開発
東北マイクロテック(仙台市青葉区、元吉真社長)は、産学連携で学習機能を持った3次元(3D)積層型人工知能(AI)チップを開発した。3D構造を利用した新たな動作原理を採用。4層積層のチップ間でニューロ演算を繰り返し、実効的には100層以上の同演算が可能という。元吉社長は「日本で生産する半導体を増やしていきたい」とし、今後は量産化プロセスの確立を目指す。
開発した3D積層型AIチップは「エッジAI」と呼ばれる分野のチップになる。クラウド上から必要な情報を持ってくる時間が省け、端末での瞬時な情報処理などに役立てる。センサーと組み合わせた複合センサーモジュールシステムなどへの応用を想定する。
今回の3D積層型AIチップは、実験での原理検証で動作を確認した。演算を行うニューロチップ2層、データを格納するメモリーチップ2層の4層構造になる。東北マイクロテックの小柳光正技術最高顧問(東北大学名誉教授)の新たな原理を取り入れたほか、東北大、長崎総合科学大学などと連携して開発した。
東北マイクロテックは、2010年設立の東北大学発ベンチャー。東北大で生み出した3D積層半導体技術を中核に、微細貫通配線、マイクロバンプ接合技術などを融合する。今回の3D積層型AIチップの開発は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のAIチップ加速のためのイノベーション推進事業の一環として取り組んだ。
日刊工業新聞 2022年3月11日