参入相次ぐ物流施設の開発、勝ち残るための必須条件
物流施設の開発会社が環境重視を鮮明にしている。大和ハウス工業は2022年度以降に着工予定の物流施設すべてに原則、太陽光パネルを設置する。オリックス不動産はパネル設置とともにオリックスグループで発電した再生可能エネルギー由来の電力を使い、「二酸化炭素(CO2)フリー倉庫」を提案する。物流施設の開発会社はコロナ禍前の約50社から現在は70社超に増加。脱炭素時代の競争に勝ち残るため、各社とも再生エネの取り組みを強化する。(大城麻木乃)
大和ハウス工業は22年度に30棟の物流施設の着工を予定し、「原則すべての物件に太陽光パネルを設置する」(井上一樹Dプロジェクト推進室長)。これまでにも太陽光パネルを設置した物流施設は一部あったが、今後は施設の計画段階から物流施設を担う建築事業本部と電力小売りなどを担当する環境エネルギー事業本部が連携し、気象条件などで難しい場合以外は原則、太陽光パネルを設置する。
発電した電力は入居企業に供給し、不足分は非化石証書の活用も視野に外部から調達する。オリックス不動産は埼玉県松伏町にある既存の物流施設「松伏ロジスティクスセンター」に太陽光パネルを設置、4月に稼働する。パネルで発電した電力と、オリックスグループの再生エネ発電所の電力を使った「CO2フリー倉庫」の第1弾となる。
3月には新規開発として同県加須市にCO2フリー倉庫「加須ロジスティクスセンター」を着工、23年4月の完工を目指す。敷地内に電気自動車(EV)充電スタンドも設置し、環境に配慮した施設とする。オリックス不動産は年間平均4―5件の物流施設を開発しており、加須市の物件以降は、すべてCO2フリー倉庫とする。
東急不動産や東京建物も今後、開発する物流施設に太陽光発電設備を設置し、環境配慮型施設とする計画だ。
コロナ禍の旺盛な電子商取引(EC)需要を背景に物流施設のニーズが高まり、商社やゼネコンなどが物流施設の開発に参入。開発競争が激化している。各社とも独自性を打ち出す施策の一つとして環境対応を掲げ、顧客獲得につなげる。