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「中古住宅買い取り再販」参入相次ぐ、住宅メーカー大手の勝算

査定価格・ブランドに安心感

中古住宅の買い取り再販事業の取り組みが広がっている。矢野経済研究所によると、中古の一戸建、マンションの買い取り再販戸数の合計は2025年に、15年比約2倍の5万件に達する見込み。従来から取り組む積水ハウスや大和ハウス工業に加え、21年からパナソニックホームズや積水化学工業などの新規参入が相次ぐ。買い取り再販を取り巻く事業環境や各社の動向を追った。(大阪・池知恵)

 

住宅の買い取り再販事業は住宅メーカーなどが住宅を買い取り、リフォームした後に再度販売する仕組み。日本は諸外国と比べて中古物件の流通が圧倒的に少なく、空き家問題が深刻化している。買い取り再販事業は既存住宅の流通を促す一つの施策として近年注目されている。

 

高齢者夫婦が老後に利便性の高いマンションに住み替えたり、高齢者施設に入居する際や、親族から相続したオーナーが住宅管理コストの負担を考慮し、売却を検討するケースが増えている。

仲介売買では、売主が事前の説明義務などを怠った際に売買金額の減額などが発生する契約不適合責任を買い主に対して負う可能性がある。一方、買い取り再販では住宅メーカーが買い取るため、「売ったら終わりという点で売主にとって手離れがいいメリットがある」(積水ハウス不動産ホールディングスの佐久間貴也主任)という。

 

積水ハウスは19年から買い取り、リフォームした住宅のモデルハウスイベントを開催。「築20年でもリフォームすればこうなると訴求できる」(同)ことから、買い取り再販の認知度も高まり、住宅の買い取り件数も年々増えている。

中古物件買い取りの専門業者がいる中で住宅メーカーが買い取る利点は、物件のリフォームやメンテナンスの住宅履歴に基づいた適正な査定価格ができることがある。また「住宅メーカーのブランドの安心感で購入する顧客も多い」(大和ハウスの平井聡治リブネス事業推進部長)。

 

買い取り再販事業に新規参入したパナソニックホームズは、21年4月に東名阪に窓口となる住宅流通センターを設置した。全国からの買い取り物件の情報件数が、4月当初の月20件から7―8月以降には月50―60件に増えた。30年に同事業の売上高約350億円を目指す。

 

中古住宅のさらなる流通促進に向けて、「中古住宅が流通市場で高く評価されることが重要」(矢野経済研究所)とみられている。

今後、住宅メーカーだけの取り組みにとどまらず、将来の売却を見据えてこまめにリフォームし、資産価値を高めるなどオーナー側の意識向上も求められる。

日刊工業新聞2022年2月21日

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