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燃料電池の不具合を非破壊で診断する。筑波大などが手法開発

筑波大学の秋元祐太朗助教と小山工業高等専門学校の鈴木真ノ介教授らは、水による燃料電池の不具合を検知し、制御により回避する非破壊診断制御手法を開発した。水が電池内部に滞留して発電の邪魔をする「フラッディング」と水を除去しすぎて水素イオンが透過する高分子膜が乾燥する「ドライアウト」による不具合を防げる。検知のために数十以上必要だったセンサー計測点を最低二つに減らし、数分以上かかっていた計算時間を1秒以内に短縮した。燃料電池の総合的な診断手法の確立を目指す。

フラッディングやドライアウトは、数秒以内に制御すれば問題にならない。これまで多数のセンサーや機械学習などを用いた検知手法が提案されてきたが、これらは燃料電池システムのコスト増につながってしまう。

研究グループは、電流分布の絶対値ではなく、運転初期状態からの差分を算出することで、センサー計測数と計算時間の削減に成功した。

制御の基準となる電圧を下回った時の磁束密度から、健全な運転初期状態と不具合状態の電流分布の差を予測し、制御する。

実際に2カ所の磁気センサー計測点を制御指標として組み込んでフラッディング運転をした結果、1時間で7回、制御電圧の0・3ボルトを下回ったものの、全て回避制御で電圧が回復し、継続運転できた。

日刊工業新聞2022年2月15日

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