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EV普及見据え…経産省が蓄電池の評価設備増強に140億円

EV普及見据え…経産省が蓄電池の評価設備増強に140億円

FREAのスマートシステム研究棟

経済産業省は大型パワーコンディショナー(電力変換装置)と蓄電池の性能評価体制を拡充する。福島県の試験設備を増強するほか、大阪市に試験拠点を新設する。総事業費は約140億円。政府は再生可能エネルギー由来の電力供給を増やすため大型蓄電池の活用を促進する仕組みを設けるほか、中型蓄電池を搭載する電気自動車(EV)普及も見据える。脱炭素の実現に向けて蓄電池の役割が広がる中、対応を急ぐ。

産業技術総合研究所福島再生可能エネルギー研究所(福島県郡山市、FREA)において大型パワコンの最大試験能力を現行比1・7倍の5メガワット(メガは100万)に増強するほか、製品評価技術基盤機構(NITE)の蓄電池評価センター(大阪市住之江区、NLAB)の隣接地にEV向け中型蓄電池用の試験拠点を新設する。両拠点ともに2023年春の稼働を目指す。

FREA内で大規模太陽光発電所(メガソーラー)などに使われる大型パワコンの試験・評価を担う「スマートシステム研究棟」に新設備を導入。最大試験能力を現行の3メガワットから世界最大級の5メガワットに引き上げ、試験効率を高める。国際標準提案を視野に大型パワコンの試験・評価手法も確立したい考え。

NLABではメガワット級の大型蓄電池の試験評価を担う現拠点に加え、中型蓄電池の試験評価拠点を新設する。リチウムイオン電池に加え、全固体など次世代電池の評価に対応する設備などを導入する方針。EV用中型蓄電池の試験依頼が急増し、既存施設のフル稼働が続く。専用拠点を設けて需要増に対応する。

日本は50年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)を目指し、第6次エネルギー基本計画では、30年度の電源構成に占める再エネの比率を19年度比約2倍の36―38%に引き上げる目標を掲げる。

パワコンや蓄電池は送電線に流す電力を安定化するのに欠かせない。製品の性能評価を迅速かつ効率良く進め、日本メーカーの研究開発や輸出を支援することは国際競争力を維持する上で重要だ。

日刊工業新聞2022年2月3日

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