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「耐量子計算機暗号」理論・物理的安全に、東北大が対策開発

「耐量子計算機暗号」理論・物理的安全に、東北大が対策開発

耐量子計算機暗号を物理的に観測されても漏洩しない実証(東北大提供)

東北大学の本間尚文教授と上野嶺助教、NTTの草川恵太主任研究員、高橋順子主任研究員らは、量子コンピューターでも解読されない耐量子計算機暗号をチップで演算中に抜き取る脆弱(ぜいじゃく)性を発見し対策技術を開発した。米国標準技術研究所(NIST)が進める国際標準化の最終候補技術への有効性を確認した。耐量子計算機暗号が理論的にも物理的にも安全になる。

耐量子計算機暗号は数学で理論的に安全とされているが、演算素子の電磁波を計測したり、歪んだクロック信号を入力して秘密情報を盗む物理的な攻撃を受ける可能性がある。耐量子計算機暗号に使われるFO変換という秘密情報に改ざんがないか確かめる処理が物理的な攻撃に脆弱性があると突き止めた。

FO変換はNISTが国際標準化を進める9種の最終候補のすべてに使われ、そのうち8種に脆弱性があった。電磁波計測は乱数を使ったマスク処理で防げ、信号操作攻撃は対応した回路設計で防げることを確認した。NISTが進める耐量子計算機暗号が国際標準になれば、開発技術は情報セキュリティーを支える基盤技術になる。

日刊工業新聞2022年2月7日

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