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廃電池から高純度リチウムを回収するスゴイ技術、輸入価格の半値以下に

廃電池から高純度リチウムを回収するスゴイ技術、輸入価格の半値以下に

リチウム回収装置。伝導膜を20枚装荷し年1kgの回収を確立(量研機構提供)

量子科学技術研究開発機構の星野毅上席研究員らは、廃リチウムイオン二次電池(LIB)から99・99%の高純度リチウムを現在の輸入価格以下で回収する技術を開発した。廃LIBを焙焼して得た電池灰を水に浸し、溶け出したリチウムイオンを分離膜で精製する。試験装置では14日間の稼働で約24グラムのリチウムを回収できた。高濃度リチウム原液を作れば輸入価格の半値以下での回収も見込める。

セラミックスであるリチウム・ランタン・チタン酸化物(LLT)でリチウムイオンの伝導膜を作製する。この伝導膜に電池灰浸出溶液を流し、電圧をかけると純水側にリチウムイオンが移動する。回収液を乾固させれば水酸化リチウム、回収液に二酸化炭素を吹き込めば炭酸リチウムとして回収される。

試験装置では電池灰浸出溶液に含まれる約30グラムのリチウムの8割を14日間で回収できた。リチウムの製造原価を試算したところ2020年の平均輸入価格1287円を下回った。高濃度原液を利用すると半値も見込める。

リチウムイオンの膜透過のために供給する電力の8―9割がイオンの移動に使われており、この過程で電気分解の水素も発生する。水素利用や二酸化炭素固定などの付加価値を積み上げれば、より低コストでリチウムをリサイクルできる可能性がある。

日刊工業新聞2021年12月9日

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