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住友商事が「人事制度」刷新、人事部長が明かす狙い

住友商事は4月に人事制度を刷新し、管理職を対象に職務等級制度を導入した。従来は昇格を年次で管理していたが、職務の大きさに応じて等級が決まる制度に改めた。年次にとらわれず会社が格付けしたポジションに人材を充てることで最適配置を進める。2020年に策定した人材に関する全社的な方針のもと、グローバル規模での“適材適所”実現を目指す。

旧制度では各等級に最低在留年数が設けられていたため、年次の壁が適材適所を阻害していたケースがあった。新制度における職務の測定には外資系コンサルティングファームの手法を一部アレンジして活用した。全ての職務を点数化し、合計点に基づき格付けを定める。「職務を一つひとつ見える化することでグローバルベースの適材適所に繋げる」と柿原大輔人事部長は狙いを話す。

管理職のキャリア自体も、組織のマネジメントを担う「マネジメント職群」と創造性や専門性を求められる「エキスパート職群」の二つに複線化した。

非管理職の昇格についても見直し、入社から最短6年目で管理職に昇格できるよう制度を改めた。入社時点で23歳の大卒者の場合、29歳で事業会社の役員クラスや事業部のサブリーダーなどに就ける可能性がある。

旧制度では入社後約10年でほぼ一律に管理職へ昇格していたが、最低在留年数を設けず個人の成長スピードに応じて昇格できるようにした。

住友商事が人事制度を刷新した背景には、20年に策定した新たな方針「グローバル人材マネジメントポリシー」がある。柿原人事部長は「ポリシーを実現するための人材戦略だ」と話す。

グローバル人材マネジメントポリシーでは目指すべき個人・組織の姿を再定義し、人事施策の指針とした。時代が変化する中で長期的に発展し続けていくためにも、専門性を持った人材の育成や強い組織作りに今後も努めていく。

日刊工業新聞2021年12月28日

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