ニュースイッチ

拡大するノンアル市場を掴め、けん引役「レモン」でメーカーたちが一手

拡大するノンアル市場を掴め、けん引役「レモン」でメーカーたちが一手

ノンアルコールや微アルコール飲料が増える中、今後はノンアルのレモンサワー商品が相次ぎそうだ

飲料大手各社がノンアルコールのレモンサワーの缶商品を相次いで投入する。ノンアルコールのRTD(そのまま飲めるアルコール飲料)市場は、新型コロナウイルスの感染拡大による健康意識の高まりや“イエナカ需要”で、2021年に前年比30%増と拡大。中でもレモンフレーバーがけん引しており、新商品の投入でさらに活性化しそうだ。(高屋優理)

日本コカ・コーラは2018年にアルコール飲料に初めて参入したレモンサワーのブランド「檸檬堂」から、ノンアルコールレモンサワー「よわない檸檬堂」を2月7日に発売する。檸檬堂のノウハウを活用し、レモンサワーを好む人が、あえて飲まない日の選択肢の一つとするべく、ノンアルコールながらも本格的な味わいを追求した。

サッポロビールはクエン酸の働きで疲労感を軽減する機能性表示食品のノンアルコール飲料「レモンズフリー」を3月15日に発売する。ノンアルコールRTD市場の商品が増え、競争が激化する中、機能性表示食品で差別化を図る。サッポロはRTD市場の拡大を見込み、ビール類を生産してきた仙台工場を23年にRTDの工場に切り替えることを公表するなど、強化を図っている。

日本コカ・コーラはノンアルコールRTD「よわない檸檬堂」を発売する

既存ブランドも商品のリニューアルで新商品を迎え撃つ。ノンアルコールのレモンサワーでシェアトップのサントリースピリッツは21年3月に発売し、ヒットしている「のんある晩酌レモンサワー ノンアルコール」をリニューアルし、3月に発売する。レモンの香気成分を封じ込め、焼酎由来の旨味をノンアルコールのエキスとして凝縮させ、本格的な味わいを進化させた。前年比50%増の315万ケースの販売を目指す。

日本コカ・コーラによると、健康志向の高まりや生活様式の変化により、ノンアルコール飲料市場は17年から21年に約1・5倍拡大。ただ、21年の市場規模136億円と、年々2ケタ成長が続き、5197億円まで拡大しているRTD市の場規模の3%程度だ。日本コカ・コーラアルコールカテゴリー事業本部の岸田卓真ブランドマネージャーは「まだまだ成長するポテンシャルのある重要な市場」と話す。

ビール類市場が17年連続で縮小し、酒類市場も飽和状態となる中、ノンアルコールRTDは、数少ないブルー・オーシャン(競争相手のいない未開拓市場)の一つと言える。こうした市場環境を背景に、成長の可能性を見込み、新商品の投入が相次いでいる。新型コロナウイルスの収束が見えない中、「イエナカ消費」の拡大も続くとみられ、今後も本格的な味を追求したノンアルコールRTDは商品が増えそうだ。

日刊工業新聞社2022年1月31日

編集部のおすすめ