今度は尿酸値を下げる!健康志向で「ノンアルビール」市場まだまだ拡大中
ノンアルコールビールの機能性が高まっている。ビール大手各社は糖を減らす、尿酸値を下げるといった、飲むことで効果が得られる機能性商品を相次ぎ開発。ノンアルコールビールが従来のカロリーやプリン体を低減するというコンセプトから、飲むことで健康になれる飲料に変化しつつある。健康志向が高まる中、こうした機能性商品が市場をけん引し、ノンアルコールビール市場は好調に推移している。(高屋優理)
開発に3年
サッポロビールが23日に発売する「サッポロ うまみ搾り」は「尿酸値を下げる」のが最大の特徴。動物性と植物性の2種類のアミノ酸が結びついたペプチドで尿酸値を下げる効果がある「アンセリン」を配合し、開発に3年をかけて、効果とうまみを両立した。
アンセリンは50ミリグラムを12週間摂取し続けると血中尿酸値が下がる試験データがある。野瀬裕之常務執行役員マーケティング本部長は「これまでは尿酸値の原因となるプリン体を摂取しないという商品だったが、うまみ搾りは飲むことで尿酸値を下げられる」と商品開発の狙いを話す。
トクホも登場
ノンアルコールビールはキリンビールが2009年に「キリンフリー」を発売したのが始まり。当時はあくまで社会問題となっていた飲酒運転に対応した商品だったが、アルコールの入っていないビール飲料という商品性が需要を取り込み、年間出荷量450万箱のヒット商品となった。
その後、サッポロが15年に「サッポロプラス」、アサヒビールが16年に「アサヒヘルシースタイル」を発売。いずれも特定保健用食品(トクホ)で、食後の糖の吸収を抑え、血中中性脂肪の上昇を抑えるなど機能性を打ち出した。こうした商品の登場で、ノンアルコールビール市場は活性化。15年の出荷量は年間1700万箱に拡大した。
さらに機能性が高まったのは19年。キリンが熟成ホップ由来苦味酸でおなか周りの脂肪を減らす「カラダFREE」、サントリービールがローズヒップ由来のポリフェノールで内臓脂肪を減らす「からだを想うオールフリー」を発売。ともに機能性表示食品で、飲むと脂肪が減らせるという、より踏み込んだ効果を打ち出した。
市場4倍に拡大
二つの商品の直接的な効果訴求が健康志向という市場ニーズにマッチし、ノンアルコールビール市場はさらに活性化。19年のノンアルコールビールの出荷量は1900万箱となり、09年に比べ市場が4倍に拡大した。
今後も健康に配慮しつつビールテイストを楽しみたい、というニーズはますます高まるとみられ、健康面でのさまざまな課題を解決するノンアルコールビールが出てきそうだ。