EUV露光用部材の生産倍増、AGCが決断した背景
AGCは、最先端の半導体製造プロセスである極端紫外線(EUV)露光用部材の生産能力を2024年までに現在の2倍に増強する。23年1月から段階的に増強する。対象は、シリコンウエハー上への回路図の転写に用いられるフォトマスクブランクス。生産能力と投資額は非公表。供給を拡大し、同製品の売上高を現在の百数十億円から25年に400億円以上へ拡大を目指す。
グループ会社のAGCエレクトロニクス(福島県郡山市)が1月までに拡張した建屋内に生産設備を増設する。AGCのEUVマスクブランクスは、ロジックとメモリー用半導体の両方に採用され、需要が増えている。次世代・次々世代半導体向けの出荷も見込み、増産を決めた。
EUVマスクブランクスは低膨張ガラス基板に複数種類のコーティングを施した部材。表面に半導体の回路原版を形成し、フォトマスクとして使われる。露光装置内でフォトマスクにEUVを反射させ、回路をウエハーに転写する。EUVマスクブランクスには、非常に小さな欠陥をゼロに近づけることや高い平坦度が求められる。
日刊工業新聞2022年1月26日