日本みらいキャピタル社長がトロイ遺跡を発掘した「シュリーマン」に惹かれる理由

日本みらいキャピタル社長・安嶋明氏の書窓

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日本みらいキャピタル社長・安嶋明氏

遊び通じて成長する人間学ぶ

読書は昔から好きだった。小学生のころ、子ども向けの伝記ものや文学全集を読みあさった。そんなとき、父の書棚で見つけたのが、『シュリーマン伝』(エーミール・ルートヴィヒ著)と『ホメロスなくしてトロヤなし』(ハインリッヒ・シュリーマン著)である。

 

シュリーマンは貧しい家に育ったが、勉学に励んで財を築き、後にトロイの遺跡を発掘する。伝説の都市を求め、ロマンに挑戦し続ける姿に心が躍った。もともと好奇心とチャレンジ精神が旺盛だったことが、シュリーマンにひかれた理由かもしれない。

 

新たな挑戦には困難がつきものだが、仕事は楽しくやりたい。心理学者M・チクセントミハイの『楽しみの社会学』では、人間が我を忘れて何かに没頭する状態を「フロー体験」と呼んだ。彼はそこで「遊び」の重要性を述べている。『遊びと人間』(ロジェ・カイヨワ著)も、人間が遊びとともに発達し文明を築いてきたと記している。さらにヨハン・ホイジンガは『ホモ・ルーデンス』(遊ぶ人)において、人間は遊びを通じて成長すると言っている。今に至るまでこれらはいずれも私の座右の書だ。

 

約20年前にサラリーマンを辞めて現在の会社を設立し、事業再生ファンドを通じて中小企業の組織変革や新たなビジネスモデルの構築に取り組んできた。人や組織の変革は容易ではない。長年の習性や固定観念が障害として立ちはだかる。人間は得てして「変えない理由」を探すことの方が簡単である。

 

それでも「新たな価値の創造」に挑戦し、新しい顧客やサービスが徐々に形となっていくうちに、人々は自然と仕事に没頭し、「楽しさ」や「遊び」の感覚を持つようになる。

 

会社経営において、ただ高い数字を掲げるだけでは目標は達成できない。困難に諦めずに立ち向かい続けるためには、楽しさや喜び、遊びの感覚を見つけるよう意識することが大切だと考えている。

余滴/自分を理解する

 

人を理解するために認知科学や哲学、社会学などを勉強しているという安嶋社長。苦しい中で人を動かすには、楽しさや喜びを引き出していくことの重要性を強調する。一方で「固定観念を捨てろとは言わない。固定観念に気付きさえすればいい」と安嶋社長は話す。変革の第一歩を踏み出すには、まず自分自身を見つめ、理解することが重要だ。(安川結野)

日刊工業新聞社2022年1月24日

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