渋谷にセンスとギミックが詰まったモノづくりセレクトショップが出現。見どころは?
若者の街・渋谷で日本のモノづくりの面白さと出会うー。ポップアップショップ「グッドファクトリーショップ」が22日までhotel koe tokyo(東京都渋谷区)で開催されている。
出店する5社は、各社選りすぐりの商品を展示。セレクトショップのようでワクワクが詰まっている。商品は手に取って、洗練されたデザイン、センスとギミックが詰め込まれた技術に直接触れることができる。気に入った商品はその場で購入もできる。
モノづくりの面白さ・技術のカッコよさに出会える「グッドファクトリーショップ」開催!自動車部品の試作を中心に手掛ける板金加工メーカーの早野研工は、焚き火台「Fire Base」(ファイヤベース)を出展。近年ブームのアウトドアに挑戦したい初心者にうってつけの製品だ。スリット加工が施された2 枚を組み合わせるだけで基本の形は完成。後は数個のパーツを組み合わせれば、煮炊きもできる焚き火台に変身する。2020年12月の発売以来、販売台数は1,200 台を超える。お肉が美味しく焼ける厚さ6ミリの極厚プレートで、焼く・蒸す・燻す3機能が選べる。代表取締役の早野文仁さんは、「アウトドア製品でBtoCの領域に挑戦したい」と話す。
マグネシウムの加工や溶接などが得意技術とするマクルウ。パナソニックから受注したターンテーブルをヒントに開発したスマートフォン用無線電源スピーカー「バイオン-Mg60」を出展。音楽を流したままのスマートフォンをスピーカーに差し込むと、たちまち聞き心地の良い音声が響く。マグネシウムの反響を屋内外でも楽しめる優れものだ。
金属3Dプリンタを用いて製作した盃「Syuki」を出展する伊福精密。竹細工と波の模様が二重構造で、目を凝らすと、飲み口に0.2mmmの穴がある。空気と一緒にお酒を飲むことができ、社長の伊福元彦さんは「唯一無二の商品」という。
ショップでも目に付くカラフルな7つの椅子。工学院大学教授で一級建築士の鈴木俊彦さんの研究から生まれた製品で、半導体装置向けを中心にアルミ部品の切削加工のアルマイト処理を手掛けるコアマシナリーが切除加工から染色まで行っている。椅子やテーブルの裏に施された六角形の構造から、高剛性の機能美を感じ取ることができる。
その他にもアクリルのカブトムシやクワガタ虫など透明に光り輝く昆虫。工作機械メーカーの碌々産業が製作。企画室長の川浦正彦さんは「髪の毛の太さの80分の一の細さの精度で金属を削ることができる」と話す。プレス加工メーカーのツカダは、得意の切断技術を生かした金属名刺入れなどを展示している。
会場に訪れた30代の女性は、スマートフォン用無線電源スピーカーをネットでみて、実際に耳で流れる音声を聴きたくて足を運んだという。イベントの企画を立ち上げた日刊工業新聞社の蓮見明里さんは「渋谷のど真ん中で実際にモノづくりに携わっている人に、何がすごいのか直接聞いてみて欲しい」と話す。このイベントは、出店者と来店者の距離が近いことが魅力の一つ。たまたま立ち寄り、出店者と話が弾み購入に至るケースも多い。
渋谷での開催は22日が最終日だが、次回は3月9日ー 12日に開催される「2022国際ロボット展」(東京ビッグサイト)でも行われる。