高校の「新学習指導要領」追い風に、証券業界が若年層の金融教育を推進

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2022年4月から高校の家庭科で、株式や債券、投資信託といった資産形成に関する授業が始まる。22年度に始まる高校の新学習指導要領で「家計管理」などを学ぶ家庭科の一部として指導するよう規定されたためだ。これを追い風に証券業界でも金融経済教育を推進し、若年層を中心に金融リテラシーや資産形成に関する知識向上を図りたい考えだ。

「18歳への成年年齢の引き下げや新学習指導要領の開始などを良い機会と捉えて、金融リテラシー向上に取り組みたい」。21年末、日本証券業協会と全国銀行協会は、金融経済教育の推進などに関して覚書(MOU)を締結した。中学・高校を中心とした学校や社会人向けなど幅広い世代に対して金融リテラシー向上に向けた金融経済教育を推進し、セミナーや講師派遣など講師人材を共同利用する。ネット証券やつみたてNISA(少額投資非課税制度)の口座開設数は伸び、投資に関心の高い20―40代が増えていることもある。日証協の森田敏夫会長は「変化の兆しを大きなトレンドに、本格的な動きにできるかが二つの協会の大きな問題意識」と語る。

野村ホールディングス(HD)は高校の新学習指導要領に準拠した、教員が授業をするためのプログラムをARROWS(東京都中央区)と開発した。生活設計や資産形成についてスライドや映像を通じて授業ができる教材をそろえ、教員の負担を軽減し利便性にも配慮した。サステナビリティ推進室金融リテラシー推進課の佐藤由紀氏は全国の学校に出向いて授業を行う中で「教員の金融リテラシーを向上して、教員に金融教育をしてもらうことが大切」と話す。証券会社による出張授業などの提供にも限界がある。新開発の教材では、家庭科教員が悩みそうな点を説明するなど工夫を図った。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、4月から小学生を対象にした金融経済教育プログラムの提供を始める。中学・高校・大学生に展開する金融経済教育の対象範囲を小学生まで広げる。また21年12月には、さいたま市教育委員会と金融経済教育に関する連携協定を締結した。さいたま市立の小学校に金融経済教育プログラムを提供し、金融や経済について指導、助言するもので、要望に応じてさいたま市立の中学校や高校にも拡大していく方針。今後複数の市区町村や教育委員会と同様の協定を結ぶ予定だ。

日刊工業新聞2022年1月19日

キーワード
債券 投資信託 資産形成

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