昭和電工が30億円投資、炭酸ガス・ドライアイス生産増強の勝算
昭和電工は、子会社の昭和電工ガスプロダクツ(川崎市幸区)の川崎工場(同川崎区)で液化炭酸ガスとドライアイスの生産能力を年約3万トン増強する。2023年末の稼働を目指す。投資額は約30億円。炭酸製品は製油所の統廃合などにより原料の炭酸ガスが不足し、国内需給は恒常的に逼迫(ひっぱく)している。同社は廃プラスチックのリサイクル過程で発生する炭酸ガスを活用し、増産する。
今回、液化炭酸ガスの生産能力を年約3万トン、貯蔵能力を同約2000トン増強する。ドライアイスは需要に応じて、液化炭酸ガスから生産する。昭和電工ガスプロダクツ全体の液化炭酸ガスの生産能力は従来比10%弱の引き上げとなる。
昭和電工ガスプロダクツ川崎工場では炭酸製品の原料に、昭和電工川崎事業所(同)でのケミカルリサイクル事業で廃プラから水素を取り出す際に発生する炭酸ガスを使っている。リサイクル需要が高まり、リサイクル設備は高稼働を維持する見込みのため、安定して原料を確保できると判断した。
一般的な炭酸製品の原料は、石油精製やアンモニアなどの製造時に発生する濃度と純度の高い炭酸ガスが使用される。
炭酸製品は食品の加工・包装用や飲料、低温輸送・保管、電子部品の洗浄などの工業用途に使われ、需要は堅調に推移している。
日刊工業新聞 2022年1月20日