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「マイボトル洗浄機」製品化へ、象印の担当者が明かす未経験領域に挑む理由

「マイボトル洗浄機」製品化へ、象印の担当者が明かす未経験領域に挑む理由

開発した試作機(象印マホービン提供)

近畿大などとテストマーケ

象印マホービンは水筒を数十秒で洗浄する「マイボトル洗浄機」を試作し、大学などと実証実験するテストマーケティングに乗り出した。機能を改良し、数年後の製品化を目指している。洗浄機の普及により水筒を日常的に利用する人を増やし、主力のステンレス製水筒拡販につなげる。同社が試作機を公開し、機能開発に生かすテストマーケティングを行うのは初めて。(大阪・大川藍)

マイボトル洗浄機は中農製作所(大阪府東大阪市)と共同開発し、試作機を完成した。2021年12月に近畿大学で行った3週間の実証実験では、学生が試作機を850回利用し、洗浄力についての反応も好評だったという。試作機は直径57ミリ―70ミリメートルの水筒を洗うことができ、40秒かけ洗浄や除菌、脱水を自動で行う。今後は大学や自治体などと実証実験を重ね、洗浄時間の短縮や脱水機能の向上などの機能改良を進める方針だ。

象印マホービンが洗浄機の開発に着手したのは19年末ごろ。「今までモノづくりをやってきたが、これからはモノを活用したサービスをお客さまに届けたい」(岩本雄平新事業開発室長)との思いから、水筒を活用しやすい環境作りに取り組もうと構想を重ねた。

水筒は各家庭に普及し、ペットボトルの使用を減らせることから注目が高まる一方、出先で洗う場所がないなどの理由から利用が敬遠される傾向にある。また新型コロナウイルスの影響でインバウンド(訪日外国人)の土産需要が消失し、外出の機会が減ったことから、同社の水筒の売り上げも減少。職場や公共施設へ洗浄機を普及させることで水筒の日常使いを促す。

昨年12月には近畿大でドリンクサーバーと併設し実証実験を行った(象印マホービン提供)

商業施設や公共施設を中心に、買い取りやリースなどの販売方法を検討するほか、ドリンクサーバーの併設も視野に入れる。

だが、現状では製品の仕様や価格は未定。同社が未経験の商品領域のため、「洗浄力やコストなどは世の中の反応を見ながら改善していきたい」(同)考えだ。

価格や発売時期が決まらず量販店との調整が難航するリスクもあるが、新領域の商品では今回のようなテストマーケティングの手法も取り入れながら開発を進めていく。

日刊工業新聞2022年1月21日

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