「全固体電池」用に合成ゴム原料の電解質材料、韓国・研究チームなど開発
米ジョージア工科大学と韓国KAISTの研究チームは、全固体電池向けに合成ゴムを原料とする電解質材料を開発した。3次元結晶構造の高分子材料を開発、高いイオン伝導性と機械特性および電気化学的な安定性を持たせたという。成果は英科学誌「ネイチャー」に掲載された。
安全性が高く、電気自動車(EV)向けの次世代電池として注目される全固体電池の電解質には、無機セラミックや有機ポリマーの利用が見込まれている。ただ、従来の有機ポリマー電解質はイオン伝導性と機械的安定性が十分ではなかった。
今回の新しい電解質候補材料の電池としての性能は、電圧4・5ボルトで電解質および電極の合計重量1キログラム当たり410ワット時以上。単純な重合プロセスで製造できるため、無機セラミックに比べてコストが安く、環境への負荷も小さいという。強度も高く、電極に対して滑らかな接触面を持たせることができ、トラブルの原因となる樹枝状結晶の発生も防げるとしている。今後は充放電回数の改善や充電時間の短縮にも取り組む。
日刊工業新聞 2022年1月17日