ニュースイッチ

太陽電池の高効率化へ、室温で「ポラリトン状態」成功

太陽電池の高効率化へ、室温で「ポラリトン状態」成功

微小共振器に光を閉じ込め、ポラリトン状態を発現したイメージ(京都工芸繊維大提供)

京都工芸繊維大学の山下兼一教授と高橋駿助教らは、光と物質のハイブリッド量子状態「ポラリトン状態」を室温で安定して作ることに成功した。鉛ハライドペロブスカイト半導体の微細構造に光を閉じ込めると、光と電子が強く相互作用してポラリトン状態になる。この物理現象はレーザーや太陽電池の高効率化につながる。

鉛ハライドペロブスカイト半導体の一種である三臭化鉛セシウムで光を閉じ込める微小共振器を作製した。共振器の中で光と電子や正孔が強く相互作用してポラリトン状態になる。有機半導体で起きるポラリトン状態と比べると物質内を電子や正孔が自由に動き回れる。室温で発現し、従来の無機半導体での発現のように極低温まで冷やす必要がない。

室温で安定するためポラリトン状態を使ったレーザーや量子デバイスの開発につながる。三臭化鉛セシウムでポラリトン状態の物性や制御法を確立し、デバイス開発などへの知見を蓄える。

日刊工業新聞2022年1月6日

編集部のおすすめ