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海外シフト鮮明のアサヒGHD、社長が強調する組織改編の狙い

中間持ち株会社制で決定迅速化

アサヒグループホールディングス(GHD)は海外事業の拡大に伴い、経営体制の見直しを進めている。2022年1月1日付で中間持ち株会社「アサヒグループジャパン」を設け、その傘下にアサヒビール、アサヒ飲料、アサヒグループ食品などの国内事業会社を置く。日本での事業戦略の立案、意思決定を迅速化する。

勝木敦志アサヒGHD社長は「欧州、オセアニア、東南アジアの3地域は既に地域統括会社が存在し、日本にも同様に設ける。地域単位で迅速で最適な意思決定をし、そのスピードは格段に早まる」と組織改編の狙いを強調する。海外3地域では事業会社の上に地域統括会社があるのに対し、国内は国内外のグループ全体を統率するアサヒGHDが地域統括会社の機能も担っているため負担が大きく、意思決定にも時間がかかっていた。

アサヒGHDはここ数年、海外へのシフトを鮮明にしている。16年にビール世界最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー、ABI)から伊、蘭、英の西欧ビール事業を買収すると、17年には中欧、東欧のビール事業を買収。20年には豪州の全事業を買収した。21年12月期の事業利益は国内事業が1149億円、国際事業は豪州、欧州が先行して回復していること今回の中間持ち株会社制の導入は収益構造の大きな変化に合わせて行うもので、新体制では地域統括会社が各地域で事業競争力を高め、グローバルでのシナジー創出も目指す。アサヒグループジャパンはアサヒビールをはじめとした国内事業の戦略策定や経営管理を担うが、グループ全体から見ると日本は一つの地域という位置付けになる。

国内のビール類市場は16年連続で縮小が続いている。少子高齢化など構造的な課題を抱える国内市場の回復が望めない中、アサヒGHDは成長を海外に求め、22年から大きく経営体制を変える。

日刊工業新聞2021年11月18日

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