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燃料アンモニア製造プラントに本格参入する千代田化工の勝算

千代田化工建設は2030年度までに燃料アンモニア製造プラント事業に本格参入する。一般的なアンモニア製造プラントで採用されているハーバー・ボッシュ法の改良ではなく、新たなアンモニア合成プロセスの開発を目指す。千代化は03年以降、アンモニア製造プラントの設計と調達に関わっておらず、今後燃料向けで同プラントの販路を開拓する。

使用する触媒などを同プラント向けに設計。ハーバー・ボッシュ法よりも低温低圧で合成するコスト競争力の高いプラントを開発する。国内で小規模プラントやパイロットプラントを手がけながら、量産技術を確立する。プラントの建設工事に加え、電力会社を中心とした国内における受入設備の建設工事を含む燃料アンモニアのサプライチェーン(供給網)構築にも参入する方針。

千代化が03年まで取り組んでいた肥料向けのプラントは、最大で日量2000トンレベルと小規模。これに加えて競合が増えるなど競争も激化しており、00年代以降積極的に取り組んでいない分野だった。

だが世界的な脱炭素の動きの中で燃料としてアンモニアが注目されるようになるなど潮目が変わってきた。脱炭素に加えて燃料向けは最大で同6000トン規模となり、大型案件となる可能性が見込まれている。液化天然ガス(LNG)を中心に大型案件を手がけてきた強みが生かせるとみて、新技術の開発を加速する。

日刊工業新聞2022年1月7日

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