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半導体調達方針を見直す日産、専務が語る反省

半導体調達方針を見直す日産、専務が語る反省

半導体調達リスクをあらゆる方法で回避する(栃木工場)

日産自動車は半導体調達方針の見直しに乗り出した。世界的な半導体需給の逼迫(ひっぱく)で思うように部品を調達できず、11月に2022年3月期の世界販売見通しで期初計画と比べ60万台もの下方修正を余儀なくされた。長谷川博基専務執行役員は「震災などを踏まえ対策を講じてきたが十分ではなかった。我々の常識が甘かった」と反省する。

取り組みの一つが半導体サプライチェーン(供給網)の把握だ。例えば現行車に搭載している半導体は、日産がつくり込んだ特殊品か、他社も使う汎用品かといった仕様を改めて確認する。また、それぞれの半導体がメーカーの品番ごとに、フィリピンやマレーシアなど世界のどこでどのような製造工程を経ているのかといった半導体の供給網も把握する。長谷川専務執行役員は「これまでの我々の常識ではなかったが、半導体の製造過程まで把握しなければ、止まった場合の対処もできない」と対応を急ぐ。

もう一つが部品供給網寸断への備えだ。ある半導体の調達が滞った場合に代替品にすぐに切り替えられる方策を検討し、在庫量も改めて見直す。一次取引先を通じた半導体メーカーとの調達契約期間も再考する。現在は必要量に応じて半導体を調達しているが、半導体の主要供給先となる家電などでは1年契約が多いという。「我々が半導体業界の常識に合わせていかなければならない」(同)と契約期間の長期化を含めて見直す。

新車の設計開発の見直しも検討する。日産がつくり込んだ特殊な半導体を採用する場合、同半導体の代わりに汎用品を採用した別のグレードの開発を視野に入れる。CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の進展で半導体搭載量の増加が見込まれる。長谷川専務執行役員は「一つの半導体の調達難で何千社ものサプライヤーに迷惑をかけてしまう。完全に(車両生産の継続を)補償できるやり方が必要」とあらゆる方法を検討する。

日刊工業新聞2021年12月23日

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