京セラが100億円で電子部品の新棟、生産品目は?
京セラは鹿児島国分工場(鹿児島県霧島市)に約100億円を投じて電子部品の新生産棟を建設する方針を明らかにした。同工場では先行して半導体製造装置向けファインセラミック部品の増産へ新棟2棟を建設中だが、電子部品も第5世代通信(5G)技術進展や自動車の電動化などで需要が急増し供給不足が続いているため、追加投資に踏み切る。早急に着工する方針で、2024年度の稼働を目指す。
電子部品の新棟は国分工場の研究棟が立地している約5000平方メートルの土地に建設する。現在、新研究棟も建設中で、22年に完成次第、既存研究棟を取り壊して部品工場に建て替える。生産予定の品目を明らかにしていないが、電子部品セグメントで手がける積層セラミックコンデンサー(MLCC)や水晶振動子などとみられる。
新棟稼働により、国分工場における電子部品の生産能力は約1割程度向上する見通し。同社が開発を進めるスマートファクトリーの技術も積極導入し、省力化を追求する。
京セラは既に国分工場の空きスペースに約110億円を投じて半導体製造装置用部品の新棟2棟を建設することを10月に発表。さらに需給が逼迫(ひっぱく)するセラミック部品や電子部品の生産能力拡大に向け、国分と鹿児島川内工場(鹿児島県薩摩川内市)近隣の用地取得を決めている。ただ国分の隣接地約11万平方メートルは「実際に土地を取得できるのは24年くらい。それでは部品供給が間に合わない」(谷本秀夫社長)と判断。既存建物の建て替えのタイミングに合わせて急遽新棟建設を決めた。
京セラではこれまでに、旺盛な半導体需要に対応するため、セラミック・有機パッケージや半導体製造装置部品の増産に今後3年間で鹿児島、ベトナムの生産拠点に1000億円以上を投じる計画も明らかにしている。
日刊工業新聞2021年12月17日