体積の100倍の酸素を吸収できる貯蔵材料

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酸素の回収に使われる酸素欠損ペロブスカイト型サマリウム・カルシウム鉄酸化物(明治大提供)

明治大学の田村紗也佳助教と神奈川大学の本橋輝樹教授らは、体積の100倍の酸素を吸収できる酸素貯蔵材料を開発した。サマリウム・カルシウム鉄酸化物の酸化還元反応で吸収放出するため窒素が混ざらず、空気から高純度酸素を回収できる。工業向けなどの用途を想定する。資源制約の低い元素が主成分のため、低コストで高性能な実用材料になる。

酸素欠損ペロブスカイト型サマリウム・カルシウム鉄酸化物の合成に成功した。サマリウムとカルシウム・鉄・酸素が1対2対3対8の構造から、酸素を吸収すると鉄が酸化されて1対2対3対9になる。還元反応で酸素が外れ放出される。酸化還元反応を利用するため窒素が混入せず高純度酸素を得られる。重量で2・5%、体積では100倍の酸素を吸収できる。

吸収放出の過程で結晶構造の基本骨格は、維持されるため体積変化が少ない。結晶が膨縮して壊れると耐久性を下げる要因になっていた。

酸素の製造プラントで大気から高純度酸素を回収する際は、新材料の酸素貯蔵材料をペレット状にして吸収塔に充填する。400度Cで空気から酸素を吸収させ、ポンプで減圧して高純度酸素ガスを回収する。400度Cまで運転温度を下げられたため、廃熱利用が可能になった。従来、鉄化合物で動作温度が500度C以下の材料はなかった。

主成分は鉄とカルシウムなので資源制約がない。サマリウムもレアアース(希土類)の中では価格が比較的安く済む。今後はより低い温度での稼働を目指す。詳細は日本セラミックス協会が9月1―3日にオンラインで開く「第34回秋季シンポジウム」で発表する。

日刊工業新聞2021年8月30日

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