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ミネベアミツミが売上高5割増やす。5G時代に車載アンテナが担う役割の進化

ミネベアミツミが売上高5割増やす。5G時代に車載アンテナが担う役割の進化

広帯域受信に対応できるシャークフィン型車載アンテナ

ミネベアミツミはグループ会社のミツミ電機が手がけるアンテナの売上高を2024年度に現状比約5割増やす。通信に第5世代通信(5G)を使った自動車に同社のアンテナの採用が決まった。今後も自動車のどの部分にも取り付けやすいアンテナや複合アンテナなどの開発・生産を通じ業容を拡大。タイや中国、メキシコなどの製造拠点に今後約3年以内に合計10億円未満の設備投資も行う。

今回採用が決まった車載アンテナは、サメのひれに似た形状の「シャークフィン型」。出荷を開始している。

5Gを使うと車両測位の精度を従来プラスマイナス10メートル程度からプラスマイナス10センチメートル程度に高められる。その分、複数の全地球測位システム(GPS)衛星から何種類もの周波数の電波をまとめて受信できる帯域の広さがアンテナに求められる。ミツミ電機によると5Gを使った自動車用のアンテナに求められる帯域は従来(4G)に比べ約3倍広い。

帯域を広げるとその分、付属の部品なども増えるが、燃費向上などの観点からアンテナの小型化・低姿勢化の要求も強い。設置面積は変えず、増えた部品などをアンテナ内部にどう収めるかが各社の課題だ。

ミツミ電機はアンテナを折り曲げることで、従来と同じ搭載面積を維持。一方、折り曲げによってアンテナ同士が干渉しないように、設計や配置を工夫した。また、金属材料の一部を樹脂に変えるなどして、効率を下げないようにしながらアンテナの背を低くした。

車載アンテナはカーラジオを聞いたりテレビを見るために使われてきたが、自動運転や安全運転支援の普及に伴って近年役割が広がっている。複数車線のどの車線を走っているかや車間距離などの把握が重要な自動運転では、無線通信を行うためのアンテナが欠かせないためだ。現在は自動車1台当たり2―3個のアンテナを搭載している。

ミツミ電機が製造するアンテナのうち9割が自動車向け。同社は今後も5Gを切り口に車載アンテナの新たな顧客を開拓。受注に応じて生産体制も拡充し、設備投資も行う。同社はタイなど世界4カ国にアンテナ製造拠点を持つ。アンテナ売上高5割増を実現する場合、タイは現状より3割程度、能力を増やす必要がある模様だ。

車載アンテナの世界市場は直近で年1500億円規模。シェア2割程度の首位グループに、1割程度の2位集団が続く。ミツミ電機は業容拡大を通じ、2位集団への参入を目指すとみられる。

日刊工業新聞2021年12月16日

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