川重・ヤマハ発・スズキ・ホンダが水素エンジンで連携へ。国内2輪車メーカーが協調の事情

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国内2輪車4社は交換式電池の標準化を進める(ホンダの「モバイルパワーパック」)

カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の実現に向け、国内2輪車メーカー大手4社が連携を強めている。川崎重工業とヤマハ発動機は2輪車に搭載する水素エンジンの共同研究について検討を始めた。スズキとホンダも参加する方針だ。電動バイク向けの交換式電池の標準化の取り組みも進んでいる。各社は機能などの差別化でしのぎを削る一方、脱炭素の領域では協調し、グローバルでの存在感を引き続き発揮したい考えだ。(江上佑美子)

「川重、スズキ、ホンダはライバル。エンジンそのものは競争領域だ。ただ水素エンジンを使う仲間を増やさないと部品メーカーの協力を得られず、研究開発もままならない」。ヤマハ発の日高祥博社長は連携の背景をこう説明する。知見を持ち寄ることで内燃機関を活用したカーボンニュートラル実現を図る。川重の橋本康彦社長は「1社だけでカーボンニュートラルは進まない。国内で動きを広め、水素エンジンを実用化したい」と話す。

スズキの伊藤正義常務役員も「大型バイクには水素エンジンが適しているとの話を社内でしており、今回賛同した。カーボンニュートラルに向け電動バイク以外の道も探っていきたい」と意気込む。

一方、国内2輪車メーカー大手4社は3月、電動バイク向け交換式電池の標準化に合意した。日本自動車工業会(自工会)2輪車委員会委員長も務める日高ヤマハ発社長は11月、ホンダが電動バイクに搭載している「モバイルパワーパック(MPP)」をベースにする方針を示した。「ヤマハ発としても今後出す小型電動スクーターはMPPを載せられるようにする」という。

国内2輪車メーカー4社は世界シェアの約半分を握る。脱炭素への要請が高まる中、対応は急務だ。ただ現状では、電動バイクのラインアップがホンダの法人向けやヤマハ発の「イービーノ」などに留まるなど、十分とはいえない。

経済産業省や自工会は11月、2030年に向けロードマップ(工程表)を発表。電動車や合成燃料対応車の普及にも取り組む姿勢を示した。行政も含めオールニッポンで脱炭素を目指す流れは2輪車でも加速しそうだ。

日刊工業新聞2021年12月3日

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