「デジタルツイン」で建設現場の事故防ぐ。大成建設のスゴいシステム

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仮想空間で建機や人の接触を防止する(イメージ)

大成建設は現実の建設現場などを仮想空間に再現する「デジタルツイン」技術を活用し、建設機械の接触事故を防止するシステムを開発した。建設現場をパソコンで仮想空間上に再現し、建機と現場作業員の位置を正確に把握した上で警報発信や非常停止指令により現実空間での接触を防ぐ。蓄積したデータは安全教育に活用する。2022年2月、建機の自動化協調運転を開始する栃木県鹿沼市の南摩ダム施工現場に適用する。

新システムは大成建設が完全自動運転(無人化)施工を見据え、施工中に得た膨大なデジタルデータを活用し効率的な施工と安全管理を支援する建設現場管理システム「T―iDigital Field」の機能を拡張・強化した。デジタルツインで監視し建機との接触を防ぐ新アプリケーション(応用ソフト)を導入した。

新システムは事前に取得した飛行ロボット(ドローン)による地形情報(3次元〈3D〉点群データ)を基に、仮想空間をパソコン上に再現し、その画面上に現実空間で得たデータを基に建機や人の3Dモデルを配置する。現実空間の建機や人の全球測位衛星システム(GNSS)位置情報から、その位置や動きを仮想空間上に連動させる。

即時に取得したバックホー、振動ローラー、ブルドーザーなど重機のGNSS位置情報や、位置情報タグ(GNSS発信機)付きチョッキを携帯する現場作業員の情報からその動きを把握。接触の恐れがある場合は、パソコン上で「警報(黄色)」「非常停止(赤色)」を色分け表示し、建機と現場作業員にも知らせる。

従来の接触防止システムも異常時、現場に警告する機能を持つが、新システムはデジタルツインの活用で建機や人の形をより正確に把握でき、接触防止効果が極めて高い。また、デジタルツインを活用する最大のメリットは、建機や人の経路などのデータが蓄積できる点。接触しそうになったエリアや回数、立ち入りやすい地域などを分析し、効果的な安全教育につなげる。現場の最適な施工方法やカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)に向けた建機の燃費管理の検証にも応用できる。

大成建設は施工現場の完全自動運転を見据え、蓄積データでの未経験工事の施工方法の仮想体験やロボット化のアルゴリズムの開発にも活用する。同社によると、建設現場の機械関連災害は減少傾向にあるが、「はさまれ、巻き込まれ」「激突災害」などは横ばい傾向で、建設現場災害全体の1、2割を占めているという。

日刊工業新聞2021年11月26日

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