ニュースイッチ

四足歩行ロボットが建設現場の管理を担う。大成建設がゼネコン初導入へ

大成建設は今秋にも、遠隔操作で建設現場を巡視する四足歩行ロボットの運用を始める。段差や狭い場所でも走行でき、作業員に代わって施工状況の把握や検査業務、老朽化施設の安全確認などの現場管理を担う。同ロボの運用フェーズに入るのは国内建設業界で初になる見通し。中国製の量産ロボットを改良して低コストを実現。今後、ロボットが動作を判断する自律歩行型の開発を目指す。

大成建設は中国ユニトリー製ロボットの販売代理店のテックシェア(東京都江東区)と協業し、建設現場遠隔巡視システム「T―iRemote Inspection」を導入する。大成建設のデジタル変革(DX)基盤「T―BasisX」の広域Wi―Fi環境と連動。首都圏などの実証実験で携帯電話回線が使用できない地下階や高層階でも安定的な作業を確認した。

改良したロボットは2機種。バッテリー容量が小さいモデルは本体重量が12キログラム、最大歩行速度が秒速3・3メートルと機敏な動きで小規模現場に向く。段差20センチメートル程度の階段を昇降できる中型モデルは中・大規模現場にも対応する。本体には現場を見渡す360度カメラや高性能ズームカメラ、揺れ補正機能付きカメラ、予備バッテリーなどを搭載した。

現場作業員に指示するための双方向音声通話機能や工程の進捗(しんちょく)確認、作業員の行動を監視するパトロール機能も装備。専門知識のない作業員でも3画面モニターを見ながら操作できる。

建設業界では少子化に伴う人手不足が課題。ロボット導入で作業員の省力化や安全性確保を目指す。四足歩行ロボットをめぐり、米ボストン・ダイナミクス製の高性能自律型四足歩行ロボット「Spot」に多目的な機能を搭載するため、鹿島と竹中工務店などが共同研究を進めている。

日刊工業新聞2021年5月17日

編集部のおすすめ