増え続ける「コロナ労災」、請求が2万件を超える
医療従事者が大半
新型コロナウイルス感染症にかかわる労災請求件数が累計で2万件を超えた。厚生労働省によると、業務に起因するとして労働者災害補償保険の請求があった件数は10月31日現在で、累計2万702件、決定件数は同1万6424件となった。コロナ感染の拡大と影響を背景に1月以降は月1000件以上の請求が続いている。患者の診療にあたる医療従事者が大半を占め、製造業、建設業、運輸・郵便業なども増加している。
全国の都道府県労働局からの報告を厚労省がまとめた。最初の請求は2020年3月に1件だけだったが、同年6月には月370件に増加。累計で1000件を超えるまでには7カ月かかったが、2000件までは9カ月、5000件までは12カ月、1万件までは15カ月と徐々に増えている。
10月31日現在の累計請求件数を業種別にみると、医療業、社会保険・社会福祉・介護事業といった「医療従事者等」が1万4208件、それ以外の業種が6458件、海外出張者が36件だった。
厚労省は20年4月、感染経路が特定されなくても、業務で感染した可能性が高く、業務に起因したと認められる場合には、労災保険給付の対象になると通告した。感染が疑われる多数の患者の診療に日々あたっていた医師や看護師のほか、後日陽性が確認された作業者、陽性者が勤務してリスクが増していた事務所で働いた事務員らが対象になるという。こうした状況からコロナに関する労災請求件数が増えたとみられる。
日刊工業新聞2021年11月23日