コロナ禍で増える電子申告。それでもメリットが認知されていない人たち
国税庁の電子申告・納税システム「e―Tax(イータックス)」の普及が加速している。新型コロナウイルス感染症対策として、税務署などに出向かずに、自宅からパソコンやスマートフォンを使用して確定申告できることなどから、イータックスの利用者が増えている。(編集委員・川瀬治)
コロナ禍で対面避ける
2020年分の確定申告では、新型コロナ拡大の影響もあり、確定申告会場への来場や税理士に依頼せずに、国税庁ホームページや会計ソフトなどを利用して、自分で自宅などからイータックスで確定申告する納税者が増加した。自宅からパソコンなどで自分でイータックスで申告書を申請した納税者は前年比72・6%増の320万7000人となった。税務署の確定申告会場で所得税などの申告書をイータックスまたは書面で作成・提出した人数は344万6000人で、同水準に迫っている。
また、自宅からスマホを使ってイータックスで申告した納税者は同2・2倍の101万8000人。12万6000人だった18年分と比べると、2年間で8・1倍に増加している。特にマイナンバーカードを利用してスマホから申告した納税者は同7・3倍の43万2000人だった。
イータックスの利用者が増えた背景には、コロナ禍で対面による手続きを避けようという人が増えたほか、電子申告による青色申告特別控除の控除額が引き上げられたこともある。税制改正で20年分以後の青色申告特別控除を10万円上乗せして65万円にしている。「こうした電子申告のメリットがまだ中小企業経営者に十分に認知されているとはいえない」(財務省関係者)状況で、中小企業のデジタル変革(DX)が一層進めば、イータックスのさらなる普及が見込まれる。
大鹿行宏国税庁長官は「イータックスの利用者が増えている。今後も納税者の皆さまにより便利で簡単に申告してもらえるように工夫を重ねていきたい」と述べた。