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外国人材の確保で地域活性化を狙う静岡県浜松市、その戦略の全容

浜松地域で外国人材の確保や労働の環境整備に向けた動きが加速している。浜松市は外国人の確保や定着、活躍推進に向けて、就労環境に配慮した事業所を認定して優遇措置などを行う制度「外国人材活躍宣言事業所認定制度」を創設した。高度人材の誘致を目指す有限責任事業組合(LLP)である浜松外国人材定着サポートは、留学生のインターンシップ(就業体験)支援事業で成果を挙げている。輸送機器関連を中心に製造業が集積する地域で貴重な労働力として定着を図るとともに、地域活性化につなげる。

浜松市の外国人材活躍宣言事業所認定制度は、外国人材を1人以上雇用して安心・安全に働ける職場環境づくりや職域拡大への努力など一定の要件を満たした企業、団体、個人事業主を認定して公表するとともに、同市の受注案件で優遇措置などを取る。都道府県を除く市町村レベルの自治体では全国初の制度という。

同制度の認定申請は11月末まで受け付ける。認定を受けると受注での優遇措置のほか、外国人材などを対象にした日本語学習支援事業費補助金の上限額引き上げ、イメージアップのための認定マークの使用などが可能になる。また同市のウェブサイトで取り組みを紹介する。

同市内で外国人を雇用する企業や団体は2000者以上あるとされる。10月には同制度のキックオフイベントとして「多様な文化的背景を持つ人材を活力や強みと捉え、企業づくりや地域活性化につなげる重要性への理解を深める内容」(鈴木康友市長)でオンラインでのシンポジウムを開いた。

同市は多様性を生かすインターカルチュラル・シティーを掲げる。同制度の創設で「『課題解決型』にとどまらず、『価値創造型』の多文化共生施策を推進する」(同)と強調する。

外国人材定着サポートのインターンシップ支援事業では、2021年度にインドやインドネシアなどアジア圏4カ国の計9人の留学生が同地域の輸送機器関連の中堅・中小企業計6社に就職したり、内定を得たりした。春に約2週間のインターンシップを経て就職に至った。プログラムは同組合が提案した内容を活用した。

中堅・中小企業は機械工学や情報学の専門知識を持った人材を確保した。留学生は静岡大学の大学院生などで、高度外国人材の受け入れで活性化につなげる。

 

同組合は設立して約1年と若い組織。企業や大学への情報発信を拡充してアピールし、インターンシップ支援事業の拡大を目指す。

日刊工業新聞2021年11月22日

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