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自動運転に貢献する「ドット光源」とは?

SCIVAXがセンサー用レンズ開発
自動運転に貢献する「ドット光源」とは?

SCIVAXが開発した「Ardisia」単体㊨とパッケージ化した同製品。背景の四角いマスは1辺約3ミリメートル

SCIVAX(サイヴァクス、川崎市幸区、田中覚社長)は光学回折素子(DOE)の「ドット光源=用語参照」よりエネルギー効率が高く、レーザー光を遠くまで照射できるドット光源を形成するレンズを開発し、サンプル出荷を始めた。スマートフォンなどへの採用が進む光の往復時間で対象物までの距離を計測するToF方式の距離センサー用の光源として、早ければ2022年4―6月期に量産を開始。DOEに比べて消費電力が2―3割減り、センサーの薄型化や低コスト化にもつながるとして売り込む。

新開発のレンズ「Ardisia(アルデシア)」は、エミッターを増やしてもドットの数は一定したまま増えないため、ドット一つ当たりのエネルギー密度が高くなる。DOEのドット光源と比べて2―3割の省電力化につながり、スマホ用の低電流下でもレーザー光の照射距離が10―12メートルと、DOEの2―3倍に伸びる。DOEに比べると構造も簡素なため、センサーモジュールの厚さが3ミリメートル未満になり、製造コストも2―3割減る。

光の回折現象を用いてレーザー光を分岐させるDOEには、照射範囲を広げるためエミッターを増やすとドットも連動して増え、エネルギーが分散してしまうという課題があった。極微細な凹凸が付いた金型で樹脂などを成型する「ナノインプリント技術」でレンズ表面を加工することで課題を克服した。

ToF式のセンサーは、スマホ搭載カメラや自動運転車、工場自動化(FA)機器の高性能化に不可欠とされるが、遠くの物体を高精度で判別するには、光源のさらなる性能向上が必要だった。

【用語】ドット光源=エミッター(放射点)から出たレーザー光を複数の光線に分岐させ、ドット(点)状の光が面的に並んだ状態にして照射する光源。光信号を一度に広い範囲へ照射できるほか、奥行きのある3次元空間として距離を計測する「ToF式センサー」の光源として使えば、2次元画像では判別しにくかった相対距離を、高精度で測定できるようになる。車の自動運転化や工場のスマート化などに、大きく貢献すると期待されている。

日刊工業新聞2021年11月22日

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