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「出向起業」で増えるスタートアップ、経産省が新たに支援する6件とは?

経済産業省は、大企業の人材が外部資金を調達し出向状態で起業する「出向起業」支援事業で新規6件を採択した。新規案件は明電舎の社員が起業した企業向け非常用電源・燃料のシェアリング事業や、デンソーの社員によるカーシェアリング・レンタカー車両向けキズ検出センサー事業など。社員は企業に籍を置いた状態で起業に挑戦できるメリットがあり、同支援事業を活用して起業したスタートアップの数が増えつつある。

明電舎社員が起業したのはレジリエンスラボ(東京都品川区)。複数の企業が非常用電源や燃料をシェアリングすることでコストを抑えた事業継続計画(BCP)を実現するソリューションを提供。2022年4月からテストユーザーによる運用を始める計画だ。

デンソー社員が起業したMobirta(名古屋市西区)はカーシェアやレンタカー事業者向けに、利用者が車両につけた軽微なキズを加速度センサーが検知し、事故処理を効率化するサービスを提供する。利用者が車両にキズをつけても事業者に自己申告しないケースがある。修理費用など事業者が被る損失を防止する。

出向起業は社員が出向元の企業に在籍したまま起業に挑戦でき、仮に失敗しても出向元に戻れるためリスクが小さい。出向元の企業にとっても社員が起業したスタートアップを有利な条件で買収しやすいなどのメリットがある。社員が戻った場合、経営の経験を持つ人材として生かせる。

出向起業支援事業はモノづくりに関する起業の場合、上限1000万円、新規事業に必要な試作開発や起業準備段階の実証にかかる経費の2分の1を補助する。20年度に開始し今回の採択分を含めこれまでに24社のスタートアップが誕生した。次回は22年4月に公募開始する予定。

日刊工業新聞2021年11月12日

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