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太陽電池の原理でコロナウイルスのたんぱく質を検出、新開発「表面プラズモンセンサー」の仕組み

北海道大学の三沢弘明特任教授と上野貢生教授らはイムラ・ジャパン(愛知県刈谷市、田内比登志社長)と共同で、太陽電池の原理を用いて電気的に信号を検出する表面プラズモンセンサーを開発した。試作機では新型コロナウイルスのたんぱく質を検出できた。従来の光学検出に比べて装置を大幅に小型化できる。計測装置のサイズであったプラズモンセンサーがウエアラブルデバイスの大きさになる。

導電性ガラスの上にシリコン、金の薄膜を重ねて表面プラズモンセンサーとして機能させる。導電性ガラスの側から光を入射し、金薄膜の表面でプラズモン共鳴を起こす。金薄膜に抗体などを固定し、生体分子を捉えると金表面の屈折率が変わって共鳴角度が変化する。

新センサーでプラズモン共鳴が起きると光は金表面を伝わり、共鳴しなければシリコン内部で光が膜内反射を繰り返す。シリコン内を光が伝わると太陽電池の原理で光が電流に変換される。この電流量で生体分子の結合量を測る。実験では新型コロナウイルスのたんぱく質が定量的に測定できた。

従来は光学的に検出していたため装置が大型化していた。将来的には発光ダイオード(LED)と検出部を集積してウエアラブルなバイオセンサーの開発につなげる。

日刊工業新聞2021年11月11日

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