半導体・部品不足が足かせに、日立・ファナックなど業績予想の下方修正相次ぐ
新型コロナウイルス感染拡大による半導体や部品などの不足を受け、業績予想の下方修正が相次いでいる。日立製作所は2022年3月期の調整後営業利益を7月公表比170億円、ファナックは営業利益を同169億円それぞれ引き下げた。コロナ禍の影響は根深く、企業は難しい対応を迫られている。
日立製作所は半導体不足による自動車メーカーの減産を受け、自動車部品子会社日立アステモの業績予想を下方修正したことなどが全体を押し下げる。
27日に会見した河村芳彦専務は「21年10―12月期は7―9月期よりも強く半導体の影響が出る」と見る。
「これは単純に一過的な需給バランスの問題ではなく、背後に構造的な問題がある」と指摘。米中対立により、中国が半導体の在庫を積み増していることなどが背景にある。
河村専務は「すぐに問題は解決しないが、全世界の半導体メーカーが増産に入っている。21年度はずっと影響が続くだろうが、22年の今頃から需給関係は緩んでくるはずだ」と見通す。
ファナック、“ネック”が次々
ファナックは22年3月期業績予想を下方修正した。工場自動化(FA)関連や産業用ロボット、小型切削加工機の主力3事業で旺盛な需要が続いているものの、半導体などの部品不足による影響を考慮した。
半導体や電子部品、樹脂など部材の調達難が顕在化しており、生産を阻害する要因になっている。27日電話会見した山口賢治社長は「ネックとなる部品が代わる代わる出ている。そこを潰しながら1台でも多くつくる」とした
。半導体など部材不足は半年程度続く予測だが、ロボットや数値制御(NC)装置などの需要も強い。特にロボットについて山口社長は「現状、月産1万1000台を遠からず2割くらいは増やしたい」と展望を語った。
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日刊工業新聞2021年10月28日