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人事制度を初めて大幅改定したケーブルテレビ最大手、あえて「ジョブ型」を導入しない理由

JCOMは、直接雇用社員1万2000人を対象に、成果を重視する報酬体系や専門人材の育成などを盛り込んだ新人事制度を全面導入した。大幅な制度改定は1995年の会社設立以来初めて。インターネット動画配信サービスの台頭などでケーブルテレビ(CATV)を取り巻く環境が変化している。高い専門性を持ち、新たなことに挑戦する社員を奨励し、新事業創出を加速させる。

職位内で昇給率に差を設け、同じ職位に長くとどまる給与水準の高い社員ほど高い評価を取らなければ昇給しづらく降給しやすい。一方、昇格したばかりでモチベーションが高く給与水準の低い社員は昇給しやすくした。

また、大卒者が管理職になるには最短でも入社から10年が必要だったが、新制度では6―7年とし、20代で課長補佐になることも可能。

専門性向上では課長職以下にコーポレート、マーケティング&セールスなど五つの職務領域を割り振る「キャリアバンド制」を導入。部下を持つことを目標とする従来のキャリア観から脱却し、部下がいなくても高い専門性を持つ人は管理職相当の職位に就ける。居住地から2時間以上を要する遠隔地への転勤は原則廃止した。

また、全国の営業拠点で勤務エリアを限定して働く営業専任職を廃止し、総合職に統合した。インセンティブ中心の給与体系だったが、年収は据え置いて固定給や賞与の割合を高め、安定して働けるようにした。総合職と同様に管理職への登用も可能とする。

富士通や日立製作所など大手企業を中心とし、年功によらず職務内容や成果で評価する「ジョブ型」雇用の導入が進む。JCOMは保守運用などの現業が多く、ジョブ型はなじまないと判断。成果主義を取り入れつつ職能型を維持し、柔軟に運用できる制度とした。

日刊工業新聞2021年10月19日

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