トヨタのレクサス「NX」に採用されたスゴイ成形技術の正体
JFEスチールが開発したプレス成形時の残留応力低減「ストレスリバース工法」が、トヨタ自動車の高級車「レクサスNX」の骨格補強部品向けに採用された。同工法の量産への活用は初めて。強度1・5ギガパスカル級の超高張力鋼板(超ハイテン)の加工で、成形後に元の形に戻ろうとする力(スプリングバック)の抑制に成功。従来、この課題に対処するため精密な金型の製作に要した時間やコストを低減できる。
対象の骨格補強部品はルーフセンターリンフォースで、超ハイテンを用いることで従来構造比で約0・3キログラムの軽量化を実現した。
超ハイテンは通常の鋼板よりスプリングバックが大きく、正しい形状になるよう金型を精密に設計する必要があった。ストレスリバースは、変形の方向を逆にした直後の変形応力は小さくなるという鋼板特性を生かし、残留応力を低減させた。
日刊工業新聞2021年10月26日