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車載・5G機器に最適。「ZA系新マグネシウム合金圧延材」の実力

日本金属などが共同開発
車載・5G機器に最適。「ZA系新マグネシウム合金圧延材」の実力

日本金属、産総研などが開発したZA新マグネシウム合金圧延材(室温プレスによる深絞り成形試作結果)

日本金属は、産業技術総合研究所、不二ライトメタル(熊本県長洲町)と高い室温成形性と強度、熱伝導率を持つ「ZA系新マグネシウム合金圧延材」を共同開発した。一般的なマグネシウム合金と違い、結晶組織の並び方を制御し非加熱での成形を可能とし、アルミニウムダイカスト材を超える熱伝導率を実現した。熱対策が必要な車載機器や第5世代通信(5G)機器、モバイルIT機器の部材向けに量産体制の確立を目指す。

マグネシウム合金は金属材料では最軽量。強度や剛性、リサイクル性が高いが、アルミ合金に比べ成形時温度や熱伝導率に課題があった。ZA系新マグネシウム合金圧延材は亜鉛とアルミを配合し、合金成分を調整するなどして開発にこぎつけた。

従来のプレス成形は、マグネシウム圧延材と金型を200―300度Cに加熱する必要があった。圧延材に固有な結晶組織の並び方が原因で、室温(非加熱)での成形性が悪かった。今回、カルシウムなどを微量に添加して結晶配向を制御し、アルミ並みの室温成形性を発揮できる。

マグネシウム合金は軽量性と高熱伝導率の両立が難しいとされてきたが、ZA系新合金圧延材はそれを克服。国内で大半を占めるアルミダイカスト材より約1・5倍優れた熱伝導率を確認した。優れた制振性を併せ持つという。

日本金属などは2019年に研究開発をスタートした。量産サイズのコイルの試作を終えており、電動車やモバイルIT機器向けを想定し、量産に向けた準備を進めていく。

日刊工業新聞2021年10月21日

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